統合失調症は、幻覚や妄想、思考の混乱といった症状を引き起こす精神疾患で、患者本人だけでなく、家族や友人にも大きな影響を与えます。
大切な人が統合失調症と診断されたとき、つらいですよね。
どのように接すれば良いのか、どんなサポートができるのか悩むことも多いと思います。この記事では、統合失調症の患者に寄り添いながら、適切な対応方法や支援のポイントについて詳しくご紹介します。
1. 病気を理解することから
まずは、統合失調症という病気について理解することが重要です。病気に対する正しい知識があれば、患者に対する不安や誤解も減り、適切な対応がしやすくなります。
(1) 統合失調症の特徴
- 幻覚・幻聴(見えないものが見えたり、聞こえない声が聞こえる)
- 妄想(事実に反する強い思い込み)
- 思考の混乱(考えがまとまらない、話の筋が通らない)
- 感情の平坦化(喜怒哀楽が乏しくなる)
統合失調症とは?を詳しくまとめた関連記事もぜひご覧ください。
(2) 病気を理解するための情報源
- 医師やカウンセラーに直接質問する
- 信頼できる書籍やインターネットの情報を参照する
- 支援団体のセミナーやワークショップに参加する
役所の障害者を支援する窓口に相談してみるのもいいですね。
2. 患者との接し方:基本のポイント
患者との接し方は、病状の安定や回復に大きな影響を与えます。以下のポイントを心がけて、安心できる環境を作ってほしいです。
(1) 否定せずに受け入れる
患者の言動が理解しがたいものであっても、否定せずに受け入れることが大切です。たとえば、妄想や幻覚に対して「それは間違っている」と強く否定すると、患者は混乱し、関係が悪化することがあります。かといって、間違っていることを肯定するのもつらいと思います。否定も肯定もしない話し方をする(話題を変えたり、「私はこう思う」を伝える)ことが大切です。
(2) 穏やかな態度で接する
感情的にならず、穏やかな態度を保っていきましょう。患者が不安定な状態のときは、冷静に対応することが症状を悪化させないためのポイントです。
(3) ゆっくりと話す、簡潔に伝える
統合失調症の患者は思考が混乱していることが多いため、話が長すぎたり、複雑な内容を伝えようとすると理解が難しくなります。話すときは、ゆっくりと簡潔に伝えるよう心がけてください。一言で伝えると、わかりやすくて落ち着きます。
(4) 指示やアドバイスを押し付けない
「こうすれば良くなる」といったアドバイスを押し付けることは避け、患者のペースに合わせて支援してください。過剰な干渉はプレッシャーとなり、症状の悪化につながることもあります。
「こんなに気をつかわなくちゃいけないのか!大変だし、めんどうだ……」と思われると思います。本当に申し訳ないです。症状が悪化している時は上記を意識していただけると助かります。
3. サポートの方法:日常生活でできること
統合失調症の患者にとって、安定した日常生活が治療の重要な一環です。家族や友人が日常生活のサポートを行うことで、患者が自分のペースを保ちながら回復に向かう助けとなります。
(1) 生活リズムの安定をサポートする
規則正しい食事や睡眠のリズムを保つことは、心の健康に良い影響を与えます。無理のない範囲で、毎日のスケジュールを一緒に確認し、手伝うようにしてください。
(2) 適度な活動を促す
無理のない範囲で散歩や軽い運動など、リフレッシュできる活動を取り入れることも有効です。過剰な刺激を避けながら、自然と身体を動かす機会を作ると良いでしょう。
(3) 通院や服薬のサポート
治療を続けることが統合失調症の安定には欠かせません。通院や服薬が適切に行われているか確認し、時には一緒に受診して医師と話をすることも効果的です。
(4) 安心できる環境を整える
自宅が患者にとって安心できる場所であることが大切です。音や光の刺激が少ない、落ち着いた空間を心がけ、リラックスできる環境にしてあげてください。
4. 家族や友人もサポートを受けよう
家族や友人が統合失調症の患者を支えることは、大きな負担になります。とても大変だと思います。ご自身もサポートを受け、無理をせず、自分も大切にしてください。
(1) 支援グループやカウンセリングを活用する
家族や支援者向けのサポートグループやカウンセリングは、共感し合い、悩みを共有する場となります。同じ経験をしている人たちとの交流を通じて、気持ちが楽になることがあります。
(2) 専門家のアドバイスを求める
患者の対応に困ったり、自分のストレスが大きくなったと感じたときは、精神科医や心理カウンセラーに相談してください。適切なアドバイスを受けることで、対応のヒントが得られます。
(3) 自分の時間を大切にする
家族や友人のサポートに尽力することは素晴らしいですが、自分の心と体の健康も大切にしてください。リラックスできる時間を意識して持ち、無理をしないように心がけてください。
私の看病でつらくなる家族を見るのは、とても悲しいです。ご自身の人生を一番にして、時には突き放してもいいので、自分を第一に大切にしてくださいね。
5. まとめ
統合失調症の患者への対応は、病気の理解と穏やかな態度が重要です。患者のペースに合わせたサポートを心がけ、無理なく日常生活を支えることが、回復への道を開く手助けになります。また、支援者自身もサポートを受けながら、無理をせずに長く支えられるよう心がけてあげてください。
この記事が、家族や友人が統合失調症になったときに、少しでも役立つ情報となれば幸いです。
安心できる関係を築きながら、共に前を向いて歩んでいきたいです。